8月28日から9月8日の12日間に渡って開催される、パリ2024パラリンピック競技大会。
今大会で活躍を期待されている選手の1人が、走り幅跳びの石山大輝選手です。
初出場ながら、開会式の旗手を任されるほどですから、期待の大きさが分かりますね。
こんな石山大輝選手とは、どのような人物なのでしょうか。
今回は、石山大輝選手について色々と調べてみました。
石山大輝選手はどんな人物?
2000年4月5日、愛媛県松山市で誕生した石山大輝選手。
小さいころから身体を動かすのが大好きで、楽しそうなことには積極的に取り組む好奇心旺盛な子供でした。
そんな石山大輝選手が小学生の時にチャレンジしたのは、バスケットボールでした。
しかし、ボールがあまりよく見えず、球技に向いていないと感じたそうです。
中学に進学した石山大輝選手が出会ったのは、陸上競技でした。
この頃の石山大輝選手は、走り高跳びに取り組んでいたようです。
陸上競技にのめり込んだきっかけは、「見えづらくても走ることができる」ことと、「1人で記録を伸ばす楽しみがあった」からだそうです。
高校進学後は三段跳びに転向。
しかし、暗くなってくると、自分だけが見えていないことに気づくようになったのです。
見えづらいのは、先天性の目の障害があったためだったのです。
その後、聖カタリナ大学に進学し、三段跳びを続けました。
しかし、目の障害は進行し、踏切板が見えづらくなってしまいました。
そこで、踏切を合わせることに集中するように。
その結果、他の動作がおろそかになってしまったのです。
当時の石山大輝選手は、他の選手とぶつからないように、グラウンドの空き時間で黙々と練習していました。
その様子を見ていたのが、石山大輝選手の中学、高校の陸上部の先輩、瀧本圭太さんでした。
瀧本圭太さんは「パラの世界でやってみないか」と、石山大輝選手に声をかけました。
実は、瀧本圭太さん、パラリンピアンの矢野繁樹選手のガイドランナーを務めていたのです。
石山大輝選手が大学3年の時でした。
しかし、パラリンピック競技には三段跳びはありません。
そこで、走り幅跳びに挑戦することにしたのです。
その後、走り幅跳びでめきめきと実力を伸ばし、2022年のパラ日本選手権に出場。
走り幅跳びの練習期間はわずか半年でしたが、7m03の大ジャンプを見せました。
これは、東京パラリンピックで銅メダルに相当する記録です。
2023年、世界パラ陸上競技選手大会(パリ)に出場。
4位入賞を果たし、パリ・パラリンピック出場を確実にしました。
2024年5月に神戸で開催された世界パラ陸上競技選手大会では、7m03の日本記録を樹立。
見事、銀メダルに輝きました。
世界パラ陸上競技選手権大会は、国際パラリンピック委員会により創設された世界最高峰の競技大会です。
わずか2年ほどの練習で、世界第2位になるなんてすごいですよね!
石山大輝選手の障害とは?
高校1年生の時に、先天性・進行性の指定難病「網膜色素変性」と診断された石山大輝選手。
「中学のころから目が悪いこと自体は少し思っていましたが、できているから大丈夫なのかなと思っていました。
でも、受診したら指定難病ですよって言われたので・・・」と話しています。
「網膜色素変性」は、光を感じる組織である網膜に異常がみられる遺伝性の病気です。
夜盲(暗いところでものが見えにくい)、視野狭窄(視野が狭い)、視力低下の3つの症状が特徴です。
出典:https://www.nichigan.or.jp/public/disease/(公益財団法人日本眼科学会)
現在は、視野の中心の「5円玉の穴の大きさくらい」の範囲はよく見えますが、周辺は、ぼやけた状態だそうです。
コンタクトレンズで矯正すると中心部分の視力は0.5程度になります。
しかし、その周りはすりガラスのように見えているそうです。
また、光の刺激に敏感で、光の強いところや弱いところ、暗いところでは見えづらくなってしまうとのこと。
石山大輝選手は自身の見え方について、次のように語っています。
「人差し指、中指、薬指を出して中指を見た時に人差し指と薬指は見えないんですよ。
見えているところ、中心部分は割とクリアに見えています。
足元が見えづらかったりとか、人込みのところだと完璧に人を視認するのが難しかったりっていうことはあります。」
2023年春、さらに自分自身を高めるために順天堂大学大学院へ進学した石山大輝選手。
視覚障がい者を対象としたスポーツの機会を増やす研究をしています。
大学院進学に伴って、故郷の愛媛を離れ、千葉で1人暮らしを始めました。
「1人暮らしは、やったことがないので不安かな。
知らないことへの恐怖があっただけで、物の位置とかわかっていれば、そのハードル自体は普通の大学生と変わらないかな」と語っています。
ただ、暗さはすごく弱いそうで、外出を伴う用事は日中に行い、夜は避けているとか。
そのため、陸上部での練習は午前中、講義は夕方以降にオンラインで受けているそうです。
石山大輝選手のメダルの可能性は?
石山大輝選手が、今年5月の世界パラ陸上競技選手大会で銀メダルを獲得したのは、先にお伝えしたとおりです。
昨年の世界選手権は4位、今年は2位ですから、着々と実力をつけていることが分かりますね。
さて、8月28日に開幕するパリ2024パラリンピック競技大会。
石山大輝選手のメダルの可能性はどのくらいあるのでしょうか?
これまでの実績から見ても、「メダルの可能性は十分ある」と言ってさしつかえないでしょう。
石山大輝選手とメダル争いをするのは、次の2選手と考えられています。
1人目は、アゼルバイジャンのサイド・ナヤフザデ選手です。
今年の世界パラ陸上競技選手大会で、優勝しています。
記録は、7m30。
「自己ベストでの世界選手権初優勝は、最高だった。
次のパラリンピックの金メダルを目指します」と語っています。
もう1人の選手は、ウズベキスタンのドニヨル・サリエフ選手です。
昨年の世界パラ陸上競技選手大会(パリ)で、7m47の世界記録を樹立しました。
今年の世界パラ陸上競技選手大会も金メダル筆頭候補でした。
しかし、前半3回の試技ですべてファウルとなり、記録を残すことができませんでした。
後半ピットに向かう石山大輝選手に「グッドラック・ブラザー」とエールを送ったドニヨル・サリエフ選手。
パラリンピックのメダル候補であることに変わりはないでしょう。
ところで、今年5月、石山大輝選手の地元松山市の総合コミュニティセンターに、横断幕が掲げられました。
大学時代から松山市のスポーツ振興事業に協力してきた石山大輝選手。
この横断幕は、そんな石山大輝選手に感謝と応援の意味を込めて作ったものだそうです。
また、地元の「あいテレビ」の取材にも応じ、パラリンピックへの意気込みを語りました。
「出場することももちろん、目標にしてたんですけど、その舞台で勝つことをしっかりできればと思っています。
同じ病気を抱えている子どもさんだったりとか、健常の方だったり、明日を生きるような活力になる試合をできればいいかなと思います。」
「メダルに絡めるような試合・おもしろい試合をできれば良いかなと思いますので、応援のほどよろしくお願いいたします。」
まとめ:石山大輝選手はどんな人物?
石山大輝選手が出場する男子走り幅跳びは、9月2日に実施されます。
パラ水泳の西田杏選手と共に、開会式で旗手に抜擢された石山大輝選手。
「一挙手一投足が注目されていく存在になったのかな。
パフォーマンスを通して勇気や感動を与えられるような存在になれればと思う」と笑顔を見せていました。
石山大輝選手の活躍に期待ですね!