2024年5月、党総裁を目指す考えを重ねて表明した自民党の加藤勝信元官房長官。
今年9月の自民党総裁選を控え、岸田文雄首相の対抗馬の一人として名前が挙がっています。
そこで今回は、加藤勝信氏について色々調べてみました。
加藤勝信氏の人物像や、今秋の総裁選に勝利する見込みなどをお伝えしていきます。
加藤勝信はどんな人物?
加藤勝信氏は東京都出身で、お父様は日野自動車工業で取締役副社長を務めた方です。
東京大学経済学部を卒業した加藤勝信氏は、1979年に旧大蔵省に入省。
倉吉税務署所長、主計局主査などを経験し、農林水産大臣だった加藤六月氏の秘書官を努めました。
そして、加藤六月氏の「娘に官僚の婿を迎えたい」という意向により、加藤氏の次女と結婚。
さらに、自分の姓(室崎 むろさき)を加藤に改姓し、婿養子となったのです。
そして1995年に退官した後、衆議院議員、加藤六月氏の秘書を務めます。
1998年、参議院議員選挙に無所属で出馬し、落選。
2000年の衆議院議員選挙に自民党から出馬しましたが、再び落選してしまいました。
落選中は、川崎医療福祉大学で客員教授を務め、2003年に衆議院中国比例ブロックで初当選します。
衆院厚生労働委員会理事や自民党厚生労働部会部会長などを経て、安倍内閣で一億総活躍担当大臣に就任。
安倍内閣と岸田内閣で、3度の厚生労働大臣を務めます。
2020年には菅内閣で、内閣官房長官に起用されました。
旧大蔵省出身で行政の実務に詳しく、調整能力にたけた点が起用の決め手となったそうです。
2021年、菅義偉首相から月刊誌『Hanada』のインタビューで、「名官房長官」と評価された加藤勝信氏。
2021年7月26日の記者会見で、このことに言及しました。
菅義偉首相は「私にないところを全部持っている」と指摘。
加藤勝信氏は「大変ありがたい。評価は後からついてくる。」と語っています。
そして2021年10月4日、第1次岸田内閣の発足とともに、内閣官房長官を退任しました。
2024年現在は、北朝鮮による拉致問題対策本部長を務めています。
今までみてきたように、大変優秀な加藤勝信氏ですが、なんと(!)漫画やアニメにも造詣が深いようです。
2020年10月20日の官房長官の会見で、映画『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』の記録的ヒットについて質問された時のこと。
映画を評価すると同時に、テレビアニメ『鬼滅の刃』の視聴者であることを明かしたのです。
また、漫画『進撃の巨人』の読者でもあり、全巻を読んでいるということも語っていたそう。
官房長官を務めた方が、漫画やアニメに詳しいとは、少し親近感がわいてきますね。
加藤勝信を総裁候補に推薦する人物は?
9月の党総裁選を見据え、活発に動き始めたのが、菅義偉元首相です。
菅義偉氏は、自身が首相だった2021年の総裁選に岸田文雄氏が立候補を表明後、再選に向けた出馬の断念に追い込まれてしまいました。
その経緯があり、現在は岸田政権下で非主流派の立場に置かれています。
と言っても、非主流派の要の地位にある菅義偉氏自身が、総裁返り咲きを目指しているわけではありません。
焦点となっているのは、再選をねらう岸田文雄首相の対抗馬に誰を担ぐのかという点です。
2024年6月8日、鹿児島市での党県連大会で講演した菅義偉氏。
岸田政権について評価も批判もせず、不妊治療の保険適用など、菅政権で実現した政策を淡々とアピールしたそうです。
実はこんな菅義偉氏の念頭には、対抗馬候補の自民党議員が何人かいます。
その一人が、加藤勝信氏です。
しかし菅義偉氏は、総裁選で誰を担ぐかは「決めていない」と周囲に語っています。
菅義偉氏に近い自民党議員の一人は「動きが出るのは7月に入ってからでは」とみているようです。
そんな折、岸田文雄首相と距離のある非主流派議員が、6月6日夜、東京・麻布十番の日本料理店に集まりました。
参加したのは、菅義偉氏のほか、加藤勝信氏、小泉進次郎元環境相、武田良太元総務相、萩生田光一前政調会長の5人。
いずれも菅政権で閣僚を務めていた方たちです。
岸田政権の行方や秋の総裁選について意見を交わしたとみられています。
また、岸田文雄首相に不満を募らせる非主流派同士で、連携を確認するねらいもあったようです。
加藤勝信が総裁選に勝つ見込みは?
総裁など権力者の人選を左右する、陰の実力者、キングメーカー。
昔から自民党には、多くのキングメーカーが君臨してきました。
現在、実質的なキングメーカーとされているのは、麻生太郎元首相と菅義偉氏です。
今まで麻生太郎氏は、岸田文雄首相を支えてきました。
お互いを尊重し、政権の中核となってきた岸田・麻生の関係だったのです。
しかし、ここにきて二人の間に深い溝が生じていると言われています。
原因は、改正政治資金規正法をめぐる考え方の相違とされています。
麻生太郎氏の意見を取り入れず、実務者たちが積み上げた議論を飛ばしてしまった岸田文雄首相。
首相がトップダウンで決めたその手法に批判の矛先が向いているのです。
しかも、今回の亀裂はかなり深刻だという指摘が出ています。
岸田文雄首相が再選を目指すならば、最大の後ろ盾である麻生太郎氏との関係修復が急務だと言わざるを得ません。
もし、麻生太郎氏との関係修復ができず、岸田文雄首相が立候補できなかった場合。
自民党で唯一派閥を維持している麻生派が、数の論理で押し切るという点で、有力なのは確かなようです。
麻生派には「ポスト岸田」と目される河野太郎デジタル相がいます。
しかし、党内にはマイナンバー問題などの対応を疑問視する意見が根強く、派内で一致する総裁候補にはなっていません。
実は麻生太郎氏の一押しは、上川陽子外相とされています。
その一方、もう一人のキングメーカー、菅義偉氏の出方を慎重にみきわめているのではないかという指摘も出ています。
菅義偉氏は、その麻生太郎氏に対抗できる唯一の存在。
菅義偉氏が誰を推すかによって、対決の構図が決まってくる可能性が高いようです。
菅義偉氏は、神奈川県が地盤の河野太郎氏や小泉進次郎氏と近いとされています。
しかし、ここにきて「加藤元官房長官を担ぐのではないか」とささやかれているのです。
では、加藤勝信氏が総裁選に勝つ見込みはあるのでしょか?
それは、菅義偉氏が自身を推してくれる場合、麻生太郎氏が誰を推すかによるでしょう。
現時点では、「勝つ見込みはないとは言えない」といったところでしょうか。
まとめ:加藤勝信元官房長官はどんな人物?自民党総裁選に意欲!勝つ見込みは?
行政の実務に詳しく、調整能力にたけている加藤勝信元官房長官。
5月16日のインターネット番組で、党総裁選への出馬に含みを持たせています。
立候補への意欲を問われ「求められるものがあれば、しっかり応じていくのは基本だ」と立候補への意欲をにじませました。
2018年の党総務会長在職時に「高みを目指す」と言ったことに触れ、「その気持ちは変わっていない」と強調したのです。
遠回しな表現は、ご自身の慎重な性格だけでなく、党内での立場を端的に表現しています。
つまり、岸田文雄首相に不満を持つ保守派と非主流派に推されることが大前提という「待ちの姿勢」です。
今後の動きには目が離せませんね。